香りという感覚

2016年05月12日 15:41

嗅覚には意外と大きく人のイメージを左右するものがあるようで、その人の印象や、思い出などの記憶も、この嗅覚で感じたものが大きく影響を及ぼすのだそうです。
なるほど聖書にはこの香りがかなり重要なところで出てくるもので、祭司の幕屋での働きには欠くことはできないもの、またソロモンの時代にはこの多くの香木、香料がイスラエルに運ばれ、やはり神殿や賛美に必要な楽器の材料になったりしています。
その中で最も重要で最も印象深い場面として、マルタの妹のマリアが主イエスに注いだ香油を思わされます。
彼女の愛と感謝はこの香油で表されてきました。
そして、主イエスの葬りのために注がれた香油は彼女の持ち得る最高のささげ物であったろうことを300デナリ(労働者の平均的日給×300と言えば300万円くらいのものでしょうか)ほどにもなるであろう香油という言葉で知ることができるでしょう。
しかし、それは値段の問題をいうのではなく、これから死に向かう愛する主イエスにどうしたら、最上の愛をささげることができようかというもの。
その愛に主イエスはどれほど慰められ喜ばれたことでしょう。
なぜなら、彼の向かう道は血と死とが拭うことのできない臭気を放って待ち受けていたのですから。
彼女の注いだ香油はそれを覆うために存分に注がれたものであるということ、それが人目に一瞬奇異にも見えた行動の本質だったのです。
私は聖書の中でこの香りをどうしても忘れることができないのです。

「私は主を喜ばせる香りを放つことができるでしょうか?」

【雅歌4:9-16】
4:9 わが妹、わが花嫁よ、あなたはわたしの心を奪った。あなたはただひと目で、あなたの首飾のひと玉で、わたしの心を奪った。
4:10 わが妹、わが花嫁よ、あなたの愛は、なんと麗しいことであろう。あなたの愛はぶどう酒よりも、あなたの香油のかおりはすべての香料よりも、いかにすぐれていることであろう。
4:11 わが花嫁よ、あなたのくちびるは甘露をしたたらせ、あなたの舌の下には、蜜と乳とがある。あなたの衣のかおりはレバノンのかおりのようだ。
4:12 わが妹、わが花嫁は閉じた園、閉じた園、封じた泉のようだ。
4:13 あなたの産み出す物は、もろもろの良き実をもつざくろの園、ヘンナおよびナルド、
4:14 ナルド、さふらん、しょうぶ、肉桂、さまざまの乳香の木、没薬、ろかい、およびすべての尊い香料である。
4:15 あなたは園の泉、生ける水の井、またレバノンから流れ出る川である。
4:16 北風よ、起れ、南風よ、きたれ。わが園を吹いて、そのかおりを広く散らせ。わが愛する者がその園にはいってきて、その良い実を食べるように。